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新しい評価の観点


今年度から中学校の学習指導要領が変わりました。
それに伴い、各教科の評価の観点も変わり、評定の出し方も変わります。

学習指導要領とは、簡単に言えば、学校教育法という法律で定められている、学校で行うべき内容や各教科の目標などの基準を示したもの。
各学校では、ここに示されている目標や内容を地域や学校の実態に応じた方法を考え実施しなくてはいけません。

そのため各中学校では、年度当初に各教科のオリエンテーションなどが開かれ、評価の観点や評価の方法などについて解説が行われ、資料等が配布されていると思います。

今回の新学習指導要領では、児童・生徒が学校教育の中で身につけるべき力について、3つの観点に絞って説明しています。
「個別の知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の3つです。
それぞれの観点についての記述を見てみると、

•個別の知識・技能
「何を知っているか、何ができるか」という部分です。各教科で学ぶべき内容について、体系的に理解できていて、応用できる形で頭に入っていることが重視されます。
もちろん、主要5教科だけではなく、技術や体育などスキルを身につける科目についても各自が熟達することが目標になります。
•思考力・判断力・表現力等
現代社会での「生きる力」の中でも特に重視されている問題解決能力に関する力と言えます。
問題を見つけた時に論理的に考えて解決まで導ける力や、仲間と協力しながら問題に取り組むための表現力などの獲得を目標とします。各教科の知識や技能を問題解決に向けて有効に使えることも大切になるでしょう。
•学びに向かう力・人間性等
教科教育にとらわれない、より広い意味での人間教育についての目標です。
多様性を理解して仲間と協力する力や、自分の感情をコンロールする力、優しさや思いやりなど豊かな人間性のベースとなる資質や力を伸ばすことに重点が置かれます。また、そのために学習に主体的な態度を持つことが重要視される点は忘れてはいけません。

新学習指導要領の全面実施と学習評価の改善について 令和2年10月 文部科学省初等中等教育局教育課程課より

この3つの柱で、これからの社会を生き抜くために必要と考えられている、資質・能力の育成を目指すとされています。これは、法律(学校教育法)でも定められていることなので、ここを目指して絶対の努力をしていかないといけないと言ことになります。

さて、各ご家庭や子供たちにとって、こんな難しい話よりも最も気になるのは、指導要領が変わって、成績の付き方は変わるの?それはどう変わるの?何に気をつけないと成績が下がってしまうの?ということではないでしょうか?

各教科の評価では、指導要領改訂の3つの柱に対応して、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で評価されるようになります。

ただし、「主体的に学習に取り組む態度」については、新学習指導要領の「学びに向かう力・人間性等」に完全には対応していません。
人間性等については教科教育の中では評価対象とするのが難しいため、学習に対する主体性を切り出して学習状況評価に用いることになっています。
簡単に言ってしまえば、テストなどでは測れない子供の内面や表れを評価するということになります。


それぞれの観点については、その評価方法の変更について文科省からもポイントが示されているので、どんな点に重視して評価されるのかを見てみましょう。

(新学習指導要領の全面実施と学習評価の改善について 令和2年10月 文部科学省初等中等教育局教育課程課より)

知識・技能
「知識・技能」の観点では、各教科で身につけるべきとされている知識やスキルについて、十分に習得しているかが評価の対象となります。
ただし、1問1答形式で測るような単純な知識だけではなく、他の教科の知識とも結びつけて活用できるような概念的な知識も重視されます。
そのためペーパーテストにおいても、出題方式が工夫されることになります。単なる知識を問う問題に加えて、深い理解を試す文章題を使うなど、応用的な部分も含まれることになるでしょう。
また、教科によっては実験などによる評価を行うなど、教科特性に合わせた適切な評価も重視されることとなります。

思考力・表現力・判断力
「思考力・表現力・判断力」の観点では、「知識・技能」に比べてより広い力を評価することになるでしょう。
各教科教育の中で課題や問題に向き合って解決していく能力や、級友と協力しながら問題解決の糸口を見つけていく力など幅広い能力が評価対象になります。自らの思いを表現していく能力も評価されます。
そのため、具体的な評価方法はペーパーテストに限られないことが予想されます。グループでのディスカッションや発表、レポートなど、各教科の特性に合わせて評価方法が工夫されていくことでしょう。教員の力量や教育哲学によって評価方法が変わることもあり、ペーパーテストだけに偏らない多様な試験方法が用いられることになると考えられます。

主体的に学習に取り組む態度
「主体的に学習に取り組む態度」は現在の「関心・意欲・態度」の評価観点に対応するものですが、評価軸はこれまでとは多少違ったものとなるでしょう。
「関心・意欲・態度」においては、どうしてもノートの取り方や挙手の回数など、児童・生徒の性格による部分や形式的なものによって判断することが多くなっていました。
「主体的に学習に取り組む態度」においては、さらに深い部分を見ていくことになります。各教科の内容を理解するために、児童・生徒が「いかに学習を調整して、知識を習得するために試行錯誤しているか」という部分を評価していくのです。
見た目の意欲だけにとらわれないという意味では、教員が一人ひとりの児童・生徒をより細やかに見ていくことも求められると言えそうです。

「知識・技能」「思考・判断・表現」については、これまでの評価方法に、新たな方法が加わると捉え準備しておくことが必要でしょう。
「主体的に学習に取り組む態度」については、これまでの「関心意欲態度」の評価の中心としてとらえられてきたことでは十分に評価できないことも考えられ、そこを補う方法がとられることが予想されます。
その点について、国立教育政策研究所教育課程研究センターから出されている「学習評価の在り方ハンドブック」にもう少し詳しく記載があるので見てみましょう。

「主体的に学習に取り組む態度」の評価の方法
具体的な評価方法としては,ノー トやレポート等における記述,授業中の発言,教師による行動観察や, 児童生徒による自己評価や相互評価等の状況を教師が評価を行う際に考慮する材料のーっとして用いることなどが考えられます。その際,各教科等の特質に応じて,児童生徒の発達の段階や一人一人の個性を十分に考慮しながら,「知識・ 技能」や「思考・判断・表現」の観点の状況を踏まえた上で,評価を行う必要があります。

これを見ると、これまでの評価方法を用いて評価する際に、子供個々の発達段階や個性(性格)も考慮に入れながら評価するとなっています。しかし、これは口で言うほど簡単なことではなく、教師の感覚に頼ることにもなりかねません。それを避けるために、普段の学習の様子や生活の様子などを記録し、評価の根拠としていくことが考えられます。
いずれにしても、主体的に学習に取り組む態度については、テストなどでは測れない子供の内面の成長も含めた評価ということになると思います。つまり子供一人一人の成長度合いも評価の対象となるとも取れます。いずれにしても、単にテストの点を上げていくだけでなく、主体的・積極的な学習活動や生徒活動への参加姿勢、自ら成長しようとする構えの育成もとても大事な要素になるのではないかと思います。

各中学校では、指導要領の改訂やそれに伴う評価方法の変更について、年度当初に教科ごとにオリエンテーションなどで、変更点の説明や評価方法が説明されていると思います。
その資料を見ると国が示しているものと違わない?(3観点ともペーパーテストで評価)と思う部分もありますが、成績をつけるのは、各学校の先生方なので、示されたものに合わせるしかありません。
各学校のオリエンテーション資料をしっかりと確認し、日々の生活を送るようにしましょう。